人は喜怒哀楽を感じる自由を持っています。喜びを素直に表したくなるときがありますし、何かに腹が立てば怒りたくなり、また、哀しみにも浸りたくなる瞬間も、無性に楽しくて、思わず!笑顔になることもありましょう。それらはすべてとても人間らしいことであって、生きてるなという実感があるものですよね。
しかし、私たちの日常を考えてみると、その素直な表現ができない場所が幾つかあるように思います。中でもよい大人にとって一番身近であり、 一番病んでいるようにも思えるところ。それは、おそらく「職場」なのではないかと思います。
いえいえ、自分が通っている「職場」は、喜怒哀楽など素直に表現できますよ、と語る方は幸せだと思います。月曜の朝、勇んで行きたくなる程ですか?と問われると、いやそこまでではないですが…でも確かに、嫌ではないですよねと話す、そんな感じの方はいらっしゃると思いますし、きっと幸せな日々を送っておられることでしょう。
では、何が「職場」に”差”を生むのでしょうか。何が喜怒哀楽を素直に表現でき、思わず笑顔になれるような場をつくっていくのでしょうか。私はそれが「人材マネジメント」であると思うのです。
人を笑顔にできる技術、ほんとうの笑顔をつくる技術。私が定義する「人材マネジメント」とは、人の”ほんとうの笑顔”をつくるための方法論である、ということです。
ではその「人材マネジメント」とはどのようなものか、発想の原点だけですが、以下に少し記してみたいと思います。
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人は生きている間でさまざまな問題に出会い、解決への努力をしつつ、さらなる難儀に日々遭遇していくものです。「職場」という人の集まりにおいては、それらが複雑に絡み合い、一筋縄ではいかない日々が続くものだとも思います。
そのような場所にあって、人の”笑顔”をつくっていけるもの。それは、以下のようなものなのではないか、と私は思っています。
1.自分達が取り組むに値する、意味のある目標
2.進んでやっていきたくなる、意味のある苦労
3.自分達の成長機会としての、意味のある失敗
4.自分達の未来を信じられる、意味のある成功
5.社会・顧客の喜びを感じる、意味のある成果
何に取り組むにおいても、たしかにそうだな、と思える「意味づけ」があることで人は、元気にも、前向きにもなれます。
自分達にとって「意味を感じる何か」があるとき、それに共感できるとき人は「もう一頑張りしてみよう」と思うでしょう。そのような人の顔には”笑顔”すら浮かんでいるのではないか、「ほんとうの笑顔」とはそのようなものなのではないか、と私は思うのですね。
ではそのような「意味づけ」は誰によってなされるのでしょうか。それはその職場の「長=リーダー」に他なりません。
リーダーの言葉・姿勢・所作などが一体となって、職場の状況や対処する物事を「意味づけ」ていくのです。
もちろんそのリーダー自身の視野が狭く、言葉が借り物で、明らかに私心ありきで、誰からも尊敬されない価値観の持ち主であるとすれば「意味づけ」られることにメンバーは納得も共感もできないはずです。リーダーだけが知らぬ間に浮き上がり、メンバーから信頼されることも、メンバーが喜怒哀楽を素直に表現することもなく、負のサイクルで職場を疲弊させていくことでしょう。
私は経営教育という自らの専門境域で、共感を育む「意味づけ」のできる人材(リーダー)を育てることにコミットしています。
★ 視点高く視野が広く、自らの言葉で語り、私心からではなく公の使命感をもとに、何ごとにおいても本質的で、人の共感を喚起しうる「意味づけ」ができる人材を、この世の中に多く輩出していきたい。
★ 望ましい人材マネジメントはそのようなリーダーによってなされていくと信じ、”ほんとうの笑顔”を社会全体に拡げる核を形成し、社会運動を推進していきたい。
自らが生業として取り組む「官民組織における幹部向教育やコンサルティング」或いは、地方公共団体の変革を狙いとした「早稲田大学マニフェスト研究所・人材マネジメント部会」における同志との活動を通じ、私は自分にできる貢献を果たしていきたいと思います。